今回は、2019年11月1日に発表された「2021年度英語外部検定試験導入延期」と、そもそも来年度実施予定の「大学入学共通テスト」について解説します!

2021年度英語外部検定試験は導入延期

本日、文部科学省より「2021年度英語外部検定試験導入は延期」と発表され、大きな話題となっています。

英語外部認定試験となっている英検1day S-CBTに予約した受験生も少なくない中で行われた文科省の決断に、戸惑いを隠せない受験生や予備校もほとんどでしょう。

大学入試改革での大学入試変更点をおさらい

そもそも今回の大学入試改革での入試変更点をおさらいすると、

  • 「センター試験」→「大学入学共通テスト」に名称変更、かつ国語・数学IAにて記述式問題導入
  • 英検などの英語外部検定試験が受験に必要(出願要件または加点対象)

でした。

特に英語外部検定試験については、「認定試験」と「英語外部検定試験」とに分かれており、認定試験が課されている場合には、

  • 対象検定:英検・GTEC・IELTS・TOEFL・ケンブリッジ英検・TEAP
  • 英検は、英検1day S-CBTまたは英検CBTのみ対象
  • 高3の4月〜12月までかつ2回以内の結果のみ有効

など条件が厳しく課されていました。

ある調査によると受験生の9割が、大学受験の英語外部検定試験において英検を活用しようと考えていることもあり、現高2生は今年9月〜10月に行われた英検1day S-CBTの2020年4月〜7月受検の予約申込を済ませている人も多いようです。

なぜ英語検定が導入延期になったのか?背景には「格差」

このように、着実に受験生が来年度の入試改革に向けて準備を進める中で、英語検定試験の導入は延期されました。

この背景には、地域格差や経済格差があると言われています。

首都圏においては大学受験を目指す学生も多く、英語外部検定試験の受検機会には比較的恵まれていると言えます。しかし、地方での受検となると、試験会場の確保が難しく、受検できないということも少なくありません。

また受検には当然受検料がかかるため、経済的に受検が困難な学生との不公平さが存在することも事実です。

こういった不平等さに対する対策を講じないままでは自信をもって受験生に提供できるシステムになってないという理由から、2024年を目処に導入が後ろ倒しとなりました。

各大学の入試要項は確認しておくべき

すでに2021年度入試に関する変更点を発表している大学も少なくありません。

今回の発表より前から、4割程度の大学が2021年度では英語外部検定試験を活用しないとしていましたが、この変更を受けてさらに変更される可能性も少なくありません。

自分の受験校が「英語外部検定試験を活用する」と発表していても、この変更に合わせて「英語外部検定試験を活用しない」とすることも十分にありえますので、各大学の入試要項はよく確認するようにしましょう。

では、このような英語外部検定試験に向けて対策をしてきたことは無駄になってしまうのか、と言われればそうではありません。なぜなら新しいセンター試験である「大学入学共通テスト」では、リスニング力が非常に重要になるからです。

新しい大学入試とは?大学入学共通テストを解説

来年度よりセンター試験は「大学入学共通テスト」に名称が変更となります。

名称が変更されるだけではなく、出題傾向についても大きく変更されています。有名なところで言えば、「国語と数学IAで、記述式問題が導入される」という点でしょう。

プレテストの結果からもわかるように、多くの受験生が記述式問題に対して高いハードルを感じているため、大きな話題となりました。

しかし国語と数学IA以外にも、大きく変更された科目があります。それが「英語」です。

共通テスト「英語」の配点が大きく変わる

今までのセンター試験における英語の配点は

筆記(80分):リスニング(30分)=200:50

でした。しかし、来年度から実施予定の大学入学共通テストでは、

筆記(80分):リスニング(60分)=100:100

と、リスニングの比重が大きくなります。

また筆記試験においても、センター試験では47点分あった文法問題がなくなり、長文読解がメインになると言われています。

つまり、今まで以上にリスニングに力を入れて対策しなければならないということです。

英検などの英語外部検定試験では、英語4技能を図ることを目的としているため、必然的にリスニング対策が必要になります。つまり、英語外部検定試験のために学習した内容は、そのまま共通テストで使える学力になっているのです。

まとめ:英語外部検定試験が導入されなくても英語4技能は大切!

ここまで、「英語外部検定試験の導入後ろ倒し」と来年度実施予定の「大学入学共通テスト」について解説してきました。

今回のポイントは、

  • 英語外部検定試験は2024年を目処に後ろ倒しになった
  • 各大学の入試変更点を確認して、自分の受験大学が英語外部検定試験を活用するかどうかを確認する
  • 英語外部検定試験が活用されなくても、共通テストで「リスニング」の比重が重くなるため、英語の4技能対策は必須
  • 英語外部検定試験が受験の上で必要でなくても、検定試験対策は受験対策になっている

でした。

今までの日本の英語教育は読み・書きに重きが置かれていたため、実用的に活用できていない点が問題視されていました。

今回の変更を受け、子どもたちのリスニング力が向上することで、将来活用できる英語力に繋がると言えるでしょう。

直近での入試に関する変更に戸惑う人も多いかと思いますが、それに不安や不満を感じても時間を浪費するだけです。正しい情報収集を欠かさずに、英語力を向上させていきましょう!